ほととぎす声待つほどは
鬱陶しい梅雨には、清涼感のある和歌を。

ほととぎす声待つほどは 片岡のもりのしづくに立ちや濡れまし(紫式部・新古今集191)
ほととぎす こゑまつほどは かたをかの もりのしづくに たちやぬれまし

「ほととぎすの声を待つ間ぐらいは、片岡の森の雫に濡れていましょう」

この和歌の詞書きには「賀茂に詣でて侍りけるに、人のほととぎす鳴かなんと申しける曙、片岡の梢をかしく見え侍りければ」とあり、紫式部が上賀茂神社に参籠した翌朝、神社付近の森を眺めやって詠んだ和歌だということが分かります。

詞書きから察するに、式部は実際に木の下に立ったわけではないのでしょう。けれど彼女の思いは、ほととぎすの声を待ちながら木立のもとで雫に濡れていました。「あしひきの山の雫に妹待つとわれ立ち濡れぬ山の雫に」(大津皇子)と詠ったいにしえの万葉びとを偲びながら。

('01.06.21/'06.08.10に絵を差替)

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