行く秋の形見なるべき紅葉葉も
もうすぐ秋も終わり、というころの和歌です。

ゆく秋の形見なるべきもみぢ葉も明日は時雨と降りや まがはん(藤原兼宗・新古今集545)
ゆくあきの かたみなるべき もみぢばも あすはしぐれと ふりやまがはん

「過ぎ行く秋の形見がわりの紅葉も、
明日は時雨の降るごとく散り、古びてしまうことでしょう」

この和歌は、十三世紀のはじめごろ催された「千五百番歌合」に出詠されたものです。
古今集以後、時雨は神無月(旧暦十月・冬の始まり)の風物となり、この歌でも「明日は時雨…」と言うことで翌日神無月に入ることをほのめかしています。こうした型どおりの使われ方を、観念的で面白くないと言ってしまえばそれまでですが、そこに秋を惜しむ心の様式美があるようにも思えます。

*この歌の表記について、新日本古典文学大系新古今和歌集の定本では「もみぢ葉は」となっていますが、脚注などを参考に「もみぢ葉も」のほうを採用しました。

('02.10.21/'06.11.18に絵を差替)

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