恋ひ恋ひて逢へる時だに
恋ひ恋ひて逢へる時だに うるはしきこと尽くしてよ 長くと思はば 恋の和歌
こひこひて あへるときだに うるはしき ことつくしてよ ながくとおもはば

「ずっとずっと思っていて
やっと逢えたときぐらい
優しいこと言って頂戴。
少しでも長く一緒にいたいなら」

作者は大伴坂上郎女(おおとものさかのうえのいらつめ)。大伴旅人の異母妹で、家持の叔母にあたります。穂積皇子、藤原麻呂、大伴宿奈麻呂、と様々な男性に愛されましたが、旅人の妻・大伴郎女の死後は、家刀自として大伴家を支えました。

この歌は、坂上郎女が次女・二嬢(おといらつめ)に成り代わって、婿である大伴駿河麻呂に贈ったものであるとされています。愛する人に優しく甘えるような詠みくちながら、最後にチクリと釘を刺す―長くと思はば、と。‘ちゃんと構ってくれないのなら、私にだって考えがあるわよ’。言外に、そうほのめかしているような気がします。

原文は「戀戀而 相有時谷 愛寸 事盡手四 長常念者」。
「うるはしき」を「うつくしき」と詠むのが一般的なようですが、講談社文庫・中西進著『万葉集』の当歌脚注に「(ウルハシは)かりに虚言でもよい、の切情がある。ウツクシは愛情が主」と書かれており、とてもしっくりくるので「うるはしき」説を採りました。

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